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21話 無邪気な言葉と、ディアブロの背中を流れる冷たい汗

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-11-06 06:00:41

「我を消すだと? 悪魔は不死の存在だ。殺せるわけがないだろ」

 ディアブロは、思わず人間の戯言にムキになりツッコミを入れてしまい、慌てて平静を装った。

 それを聞いたレイニーがムスッとした表情で頬を膨らませ、面倒くさそうに説明を始めた。

「だーかーらー消すって言ったでしょ? 殺せなくてもさぁー存在そのものを、この世界から消しちゃえば良いんじゃないっ? たとえばさぁ〜異次元に閉じ込めちゃったりすれば、どーなるだろうねぇ〜? 興味ない? どうなっちゃうんだろうね……? この世界から存在は消えちゃうよね。でも、他の次元では生きてるの。それって面白い実験じゃない? キミも興味あるでしょ? ね、面白そうだよね~えへっ♪」

 レイニーが言い終わると、ニコッと微笑み、ディアブロを実験動物を見るような眼差しで見つめた。その目は好奇心で輝き、まるで悪魔が人間で遊ぶ時の眼差しと同じだった。ディアブロは、この状況に焦り、状況が完全に立場が入れ替わっていることに気づいた。

 だが、人間の子供が異次元だと? 高度な空間魔法の上位である、さらに上位の異次元魔法を使えるわけが……ないだろ。

「は? 人間の貴様が、異空間魔法を使える訳がなかろう。魔族や悪魔などの上位種でも使える者が少ないのだぞ」

 まるで使えるような話し方をするので、ディアブロは真面目に説明をした。どれほど異次元魔法が難しいのかを、その顔に焦りをにじませながら語った。

「あはは。はい、ざんねーん。俺、色々と頑張って練習したからさぁ……使えるようになっちゃったんだぁ〜♪ ほらぁ」

 レイニーは、書庫で魔法の勉強と、ガードナーとの魔法の練習とアドバイスを受け、知識を教えられ、上達とはいえないほど格段に知識、魔力、種類が爆発的に増えていた。まさにチート能力といえる知識の吸収力だった。もともとアニメやゲームで知識があったし、イメージできれば問題がなかった。基礎と常識を教わり、あとは好奇心と実験を密かに繰り返していたのだ。

 そして今回の、貴重な不死という存在の実験材料が目の前に現れた。見過ごせるわけがない。

 何をしても死なない存在……好奇心が湧いてくるでしょ♪

「キミ、不死でしょ? それがね〜かなり災いする空間なんだよねぇ……永遠と地獄の苦しみを味わうんじゃないかなぁ〜。耐えられなくて、死んで終らせたくても終らない苦しみを……味わいたいかなぁ?」

♢異次元空間の顕現

 レイニーが手のひらを上に向けると、スッと空間に黒い球体のような穴が現れた。それは、異次元魔法によって作り出された、まさしく空間の裂け目だ。周囲の光を全て吸い込むかのような漆黒の闇に覆われたその表面は、見つめるだけで心の奥底に深い恐怖が広がる。球体の中には無数の小さな渦が巻き起こり、時折、異次元の生物や謎めいた影がちらつく様子が垣間見えた。

 球体が発する冷たい波動は、肌を刺すような寒気を感じさせ、近づく者の魂まで凍らせるかのようだ。その中心からは、低く唸るような音が響き渡り、まるで異次元の獣が遠吠えするかのように感じられる。

 この黒い球体が放つ邪悪なエネルギーは、空間自体を歪ませ、周囲の物体をゆっくりと引き寄せる強力な引力を持っている。まるで存在そのものを呑み込もうとするかのように、黒い球体は全てを無に帰す力を秘め、ディアブロの心の底から恐怖が溢れ出してきた。

「あれは……異空間魔法ではないじゃないか。あれは、まさしく異次元空間だぞ……。しかも、我が知っている異空間魔法とは次元が違うぞ!? 異空間魔法ならば……世界は存在しているはずだが……。その上位の異次元魔法は漆黒が広がる世界ではなく、完全に無の空間……閉じ込められれば永遠と存在するのみではないか……」

 ディアブロは心の中で呟き、冷たい汗が背中を伝うのを感じた。あの子供が言うように、もしあそこへ閉じ込められたら、アイツが解放してくれるまで二度と出てこれなくなる。これは危険な存在だ。封印は劣化するが、異次元空間は劣化しない。しかも不死の存在である自分が閉じ込められたならば、文字通り異次元空間の無の空間で永遠に……想像するだけでゾッとした。

♢ディアブロの動揺

「ね? 大人しくしてなよ〜」

 レイニーが、黒い球体をスッと消しながら、満面の笑顔で言った。その無邪気な笑顔が、ディアブロには悪魔の嘲笑のように見えた。

「そ、それで……どうすれば良いんだ?」

 ディアブロは、苛立ちと恐怖を必死に押し隠しながら尋ねた。心臓が早鐘を打っているのが自分でも分かる。

「大人しくしててね。俺、お腹すいちゃってさぁ〜。ちょっとご飯食べてくるよっ」

 レイニーは、お腹に手を当てて気まずそうに、まるで子供のように言った。

「そうか、大人しくしてれば良いんだな」

 ディアブロは、これがラストチャンスだと判断し、焦りを抑えながら冷静を装った。

「あ、逃げ出そうとしても無駄だからねっ♪」

 レイニーの無邪気な言葉に、ディアブロの背中に冷たい汗が流れ落ちた。

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